マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ビートルズ「ナウ・アンド・ゼン」に思う』

 先日、11月2日に公表されたビートルズの最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン(Now And Then)」が、11月10日付の英国オフィシャルシングルチャートで1位、11月14日付けの全米シングルチャート(Billboard)で7位を獲得した、というニュースが入りました。
 この曲のオフィシャルの映像も素晴らしく、それは以下のURLです。
https://youtu.be/Opxhh9Oh3rg

 私は「ナウ・アンド・ゼン」の入った11月10日に後期のベスト盤(通称「青盤)を発売と同時に購入し、この曲を繰り返し聞いて楽しんでいます。

 「ナウ・アンド・ゼン」は30代のジョン・レノンの声と80代のポール・マッカートニーのハーモニーが歌の題名のように織りなす曲です。ビートルズ人工知能(AI)技術を活用してジョンの声を分離した後、バンド演奏とコーラスを加えて曲を完成させました。ポールのベースとコーラス、リンゴのドラムやコーラスに、生前に録音されたジョージのギターやコーラス、さらに新たに録音された弦楽アンサンブルを加えて、まさにビートルズの聴き応えのある作品となっています。
 ジョンの書いた「ナウ・アンド・ゼン」の歌詞も興味深く、今回は私見を加えて思い巡らしたいと思います。この曲の歌詞と私の訳は以下の通りです。

  Now And Then  

I know it's true It's all because of you
And if I make it through It's all because of you
正しいと分かっている 全てはあなたのおかげ
私がなんとか乗り切れたなら 全てはあなたのおかげ

And now and then If we must start again
Well, we will know for sure That I will love you
そして時々思う もしもう一度最初からやり直さないといけないとしても
私たちははっきりと分かっている あなたのことを愛するだろうと

Now and then I miss you Oh, now and then
I want you to be there for me Always to return to me
時々 あなたがいなくてさみしく思う ああ時々
あなたにそこにいてほしいと思う いつでも戻ってこられるように

I know it's true It's all because of you
And if you go away I know you'll never stay
正しいと分かっている 全てはあなたのおかげ
もし去ってしまったなら あなたがここにとどまることはもうないでしょう

Now and then I miss you
Oh, now and then I want you to be there for me
時々 あなたがいなくてさみしく思う 
ああ時々 あなたにそこにいてほしいと思う

I know it's true It's all because of you
And if I make it through It's all because of you
正しいと分かっている 全てはあなたのおかげ
私がなんとか乗り切れたなら 全てはあなたのおかげ

 「now and then」は、「今も昔も」と訳すこともできますが、ニュアンス的には「時には」「時々」という意味合いもあります。曲の流れとしては後者に訳すのが自然と思います。
 「And if I make it through It's all because of you(私がなんとか乗り切れたならすべてはあなたのおかげ)」とは、私には、神の守りやイエス様の導きによりここまで人生を送ってこられたことを言っているように思います。
 「Now and then I miss you(時々、あなたがいなくてさみしく思う)」には、亡くなったジョンやジョージに対するポールやリンゴの思いを感じます。しかし、「And if you go away I know you'll never stay(もし去ってしまったなら あなたがここにとどまることはもうないでしょう)」では、この世を去って天に昇られたイエス様のことを言っているように思いました。さらに「Oh, now and then I want you to be there for me(ああ時々 あなたにそこにいてほしいと思う)」とはイエス様の再臨を願う思いを歌っているように感じました。
 そうであれば「now and then」とは、「今と昔」と同時に「今と来るべき時」とも考えられるのではないでしょうか?

 先主日は、イエス様の再臨や私たちの死がいつ来てもいいように信仰の灯を燃やし続けることがテーマと考えられました。「now and then」の「then」とは「イエス様の再臨や私たちの死の時」ではないでしょうか?
 ヨハネによる福音書 14章6節に「私は道であり、真理であり、命である。(I am the way, the truth, and the life.)」とあります。この曲の冒頭の「I know it's true」とは、「イエス様が道であり命であることを真実と知っている」という意味ではないでしょうか?
「And if I make it through It's all because of you(私がなんとか乗り切れたなら全てはあなたのおかげ)」とは、「道であり、真理であり、命である」イエス様のおかげでここまでやってこれた、なんとか乗り切れた」というふうに私には聞こえました。
 今もそして「来るべき時」も、このイエス様を信頼して信仰の灯を燃やし続けたいと願います。
 ビートルズの最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン(Now And Then)」から、このようなことを思い巡らしました。