マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ザ・ビートルズ「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に思う』

 去る6月18日はポール・マッカートニーの81歳の誕生日でした。その日の午前2時からのNHKラジオの深夜便ではポール・マッカートニービートルズ時代の作品特集がありました。どれもメロディアスな名曲揃いでしたが、その中で一番心惹かれたのが「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」でした。
 この曲はビートルズ解散後の1970年5月にシングルとしてリリースされ、アルバム「Let It Be」に収録されました。レノン=マッカートニー名義ですが、ポールがピアノを弾きながらリード・ヴォーカルをとった、実質ポール・マッカートニーの作品です。
 昨年購入したDVD3枚組の「Get Back」、全編で8時間にも及ぶドキュメンタリー映画で、まだ全部見終わっていなかったので、ここ数日見続けています。これは1969年1月の「ゲット・バック・セッション」を収めたもので、一部は映画「Let It Be」で紹介された映像をさらに深く追求して、彼らが話し合いながらどのように曲を作り上げていったかが分かります。

 このドキュメンタリー映画でも、ポールは「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を切々と歌っています。「The BeatlesThe Long And Winding Road」は以下のURLで聞く(見る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=oz3JlMhgfq0

 この曲の歌詞と訳を示します

 「The Long And Winding Road

The long and winding road that leads to your door  Will never disappear
I've seen that road before it always leads me here  Leads me to your door
あなたの扉へと続く、長く曲がりくねった道 それは決して消えることはない
それは過去に訪れた道、私をいつもここ、あなたの扉へと導いてくれる

The wild and windy night that the rain washed away 
Has left a pool of tears crying for the day
Why leave me standing here, let me know the way
風の吹き荒れる夜が、雨に洗い流され
一日中泣きはらして、涙の水たまりを残していった
なぜ私を置き去りにするのか 行き先を教えて

Many times I've been alone and many times I've cried
Anyway you'll never know the many ways I've tried
私は何度も一人きりになって、何度も泣いた
私が重ねてきた努力、あなたはきっと分からない 

And still they lead me back to the long and winding road
You left me standing here a long, long time ago
Don't leave me waiting here, lead me to your door
そして長く曲がりくねった道が目の前にのびている
ずっと昔、あなたは私をここに置き去りにした
ここで待たせないで、あなたの扉へ導いて

But still they lead me back to the long and winding road
You left me standing here a long, long time ago
Don't keep me waiting here, lead me to you door
だけど長く曲がりくねった道が、僕の目の前にのびている
ずっと昔、あなたは私をここに置き去りにした
ここで待たせないで、あなたの扉へ導いて

 この曲は、一般的には、解散を前にして困難に直面するポールが、思いを込めて歌っているように理解されています。確かに映画でもメンバーの仲違いやジョージの脱退騒ぎ等が描かれ、不協和音を感じさせます。しかし、4人が協力したときの演奏の素晴らしさは目を見張るものがあります。

 この曲名「The long and winding road(長く曲がりくねった道)」は、私には次のことを連想させます。
 先主日の福音、マタイによる福音書9章7節で、イエス様は使徒たちに「行って、『天の国は近づいた』と宣べ伝えなさい。」と命じられました。この言葉は洗礼者ヨハネが言った言葉と同じです。マタイ福音書3章1-3節にこうあります。
『その頃、洗礼者ヨハネが現れて、ユダヤの荒れ野で宣べ伝えて、言った。「悔い改めよ。天の国は近づいた。」預言者イザヤによって、「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を備えよ その道筋をまっすぐにせよ』」と言われたのは、この人のことである。』
 天の国(神の国)が近づいている。だから、長く曲がりくねっている(the long and winding)主なる神につながる道をまっすぐにしなさい。
 これが、洗礼者ヨハネ、そして主イエス様が弟子たち、さらには私たちに命じておられることです。

 ポールは「The long and winding road(長く曲がりくねった道)」に続いて、「Why leave me standing here(なぜ私を置き去りにするのか)」、「Many times I've been alone(何度も私は一人きりだった)、「lead me to your door(あなたの扉へ導いて)」と心の叫びを歌っています。これらの言葉は、イエス様の弟子となった私たちが、時には疑い、悩み、切実に祈る姿と重なります。

 「Your door(あなたの扉)」とは「天の国の扉」のことでしょう。
 この曲の冒頭にこうあります。
The long and winding road that leads to your door  Will never disappear
I've seen that road before it always leads me here  Leads me to your door
あなたの扉へと続く、長く曲がりくねった道 それは決して消えることはない
それは過去に訪れた道、私をいつもここ、あなたの扉へと導いてくれる

 天の国の扉に続く道は、長く曲がりくねっていますが、消えることはありません。それは私たちが生まれるときに通った道、そして主なる神は私たちをいつも、天の国の扉に導いてくださるのです。
 ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」から、このようなことを思い巡らしました。