前回のブログの記事では、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)について、特に創世記1:31との関係に注目して述べました。
今回は、サッチモこと、ルイ・アームストロングの出世作となった「聖者の行進(When The Saints Go Marching In)」について思い巡らしたいと思います。
私は、M司祭さんからいただいたこのレコードで聞いています。
この曲はこのyoutubeで聞く(見る)ことができます。https://www.youtube.com/watch?v=ocBPBTvNYOk
歌詞と和訳はこうです。
When The Saints Go Marchin' In / Louis Armstrong
Oh, when the saints go marching in Oh, when the saints go marching in
Oh how I want to be in that number When the saints go marching in
我らの聖者が、列を成して 彼の地へと歩を進めるならば
どうか、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the drums begin to bang Oh, when the drums begin to bang
I want to be in that number When the saints go marching in
太鼓の音が鳴り出したなら 彼らを見送る太鼓の音が
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the stars fall from the sky Oh, when the stars fall from the sky
I want to be in that number When the saints go marching in
夜空の星が流れたのなら 彼らを迎える数多の星が
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the moon turns red with blood Oh, when the moon turns red with blood
I want to be in that number When the saints go marching in
月が赤き血に染まるのならば 共に想いを馳せる月が
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the trumpet sounds its call Oh, when the trumpet sounds its call
I want to be in that number When the saints go marching in
ラッパの音が響いたならば 彼の時を告げるラッパの音が
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the horsemen begin to ride Oh, when the horsemen begin to ride
I want to be in that number When the saints go marching in
兵隊が馬に乗り出したなら 列を指揮する兵隊たちが
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the fire begins to blaze Oh, when the fire begins to blaze
I want to be in that number When the saints go marching in
松明に火が灯されたなら 彼らを導くこの送り火が
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が彼の地へ向かうその時
Oh, when the saints go marching in Oh, when the saints go marching in
I want to be in that number When the saints go marching in.
我らが聖者が征く時が来た 街から彼の地へ征く時が来た
ああ、彼の列へ我も加え給え 聖者が我らを去る時が来た
この曲は、元々は、アメリカ合衆国の黒人の葬儀の際に演奏された曲です。この曲は最初、亡くなって聖者の仲間入りをした人が、その聖者の隊列の中に立っています。
そして、ニューオーリンズでは、埋葬に行くときには静かな調子で悲しげに、埋葬が終わるとこの曲でパレードをして帰っていくとされています。それは、この曲が黒人奴隷たちによって歌われた物であり、死することで「奴隷という身分から解放され天国では自由である」という想いから生まれた曲であるとされています。奴隷解放の喜びを讃える曲だったのです。
この曲の歌詞から思い浮かべるのはヨハネの黙示録10:7です。
『第七の天使がラッパを吹き鳴らすとき、神の秘義が成就する。それは、神がご自分の僕である預言者たちに良い知らせとして告げられたとおりである。」』
死は死で終わるのでなく、元いたところに帰ることであり、天使がラッパを鳴らして神の業がなされ、それにより良い知らせをつげ知らせるのであります。それは喜びの時であります。そうだとすれば、この曲の陽気で楽しい雰囲気も「なるほど」と思わせます。
なお、サッチモとラッパの出会いには、こんなエピソードがありました。
『当時、新年というとクラッカーや爆竹をならして祝うのが習慣となっていた。ルイは小さな玩具のピストルをぶっ放した悪童グループに対抗して、タンスの奥で見つけた父親の本物の38口径を発砲し、警察に逮捕され少年院送りとなってしまう。少年院には黒人少年達のブラスバンドがあり、そこでコルネットに出会ったルイ少年は、世界的音楽家としての一歩を踏み出すこととなる。一年半後に少年院を出たルイは、以前から憧れていたコルネット奏者、ニューオリンズのジャズの王様と言われたキング・オリバーに才能を認められ、めきめきと腕を上げていった。・・・』
少年院に入ることはマイナスに思いますが、そこで生涯の友であるコルネット(ラッパ)に出会い、それがサッチモの人生を変えることになったのです。そして、黙示録でのラッパを吹く天使のような役割を果たしたようにも思います。
このようなことは結構あることのように思います。私と音楽の出会いもそうでした。私は10歳で母を亡くしました。その時、父親が幼くして産みの親を亡くした私をかわいそうに思い、何かに打ち込んで母のいない悲しみが癒されるようにと、ピアノを与えたのでした。私はその練習に打ち込み、音楽が生涯の友になりました。そして、大学でキリスト教に触れたとき、モーツァルトやバッハのキリスト教音楽に親しんでいたゆえに、違和感を感じず、すんなりその世界に入っていくことができたと感じています。人生は何が益になるか分かりません。見方を変え、変えることのできるものに焦点を当て、この状況で何ができるか考え実践することが重要であると考えます。それも神様が導いてくださると、思うのであります。