マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ルイ・アームストロングの音楽とキリスト教(1)』

 去る9月5日の東京パラリンピック閉会式で、ルイ・アームストロングの名曲「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)がセレモニーの終わりを彩りました。ここでは頸椎損傷の大けがをしながらリハビリを経て再び歌えるようになったロックバンド「ROGUE」の奥野敦士(前橋出身)が、渋いボーカルを披露しました。また、両手指のうち7本しか動かなくなったピアニストの西川悟平が美しい旋律を奏でました。
 今回から、数回に渡り「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)を歌い、20世紀のジャズ・シーンに大きな足跡を残したサッチモ、ことルイ・アームストロングの音楽とキリスト教にスポットを当てて、記してみたいと思います。なお、サッチモの愛称は、イギリス人の記者がサッチモのあまりにも大きい口に驚いて、『"SUCH-A MOUTH(何て口だ)"』って言ったのが始まりだという説があります。

 さて、「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)はルイ・アームストロング晩年の1968年に全英1位を記録したヒット曲です。
 私が聞いているのはこのCD(ベスト盤)です。

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 このCDには「この素晴らしき世界」のほか、「ハロー・ドーリー」等、15曲入っていて、999円とはお得です。
  「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)は、以下のアドレスで聞く(見る)ことができます。
 https://www.youtube.com/watch?v=VqhCQZaH4Vs

 歌詞と和訳はこうです。
 Louis Armstrong – What a wonderful world

 I see trees of green, red roses too.
 I see them bloom, for me and you.
 And I think to myself, what a wonderful world.

 I see skies of blue, And clouds of white.
 The bright blessed day, The dark sacred night.
 And I think to myself, What a wonderful world.

 The colors of the rainbow, So pretty in the sky.
 Are also on the faces, Of people going by,
 I see friends shaking hands. Saying, “How do you do?”
 They're really saying, “I love you”.

 I hear babies cry, I watch them grow,
 They'll learn much more, Than I'll ever know.
 And I think to myself, What a wonderful world.

 Yes, I think to myself, What a wonderful world. Oh yeah.

 私には緑の木々が見える、 赤いバラの花々も
 私と君のために 咲いている。
 そしてひとり思う、 なんて素晴らしい世界だと。

 私には青い空が見える、 白い雲も
 輝き祝福された日、 暗い神聖な夜。
 そしてひとり思う、 なんて素晴らしい世界だと。

 虹の色彩、 空にあって何と可愛らしい
 行き交う人々の その顔にもあって
 私には友人たちが握手しているのが見える、
 「ごきげんいかが?」って言っている
 彼らは本当は言っている 「愛しています」と

 私は赤んぼたちの泣き声が聞こえる、 彼らの成長を見守ろう
 彼らはより多くを学ぶだろう、 私が知るだろうことよりも。
 そしてひとり思う、なんて素晴らしい世界だと。

 そうだ、ひとり思う、 なんて素晴らしい世界だと。

 この曲では2節の「The bright blessed day,The dark sacred night. 」(輝き祝福された日、暗い神聖な夜。)に注目しました。この前半のThe bright blessed dayはイースター(復活日)、後半のThe dark sacred nightはクリスマス・イヴ(降誕日前夕)のことではないかと思います。教会暦の二つの柱であるこの日を述べることで、一年中いつも素晴らしい日々なのだと言っているのではないでしょうか?

 さらに、What a wonderful world.で思い浮かぶ聖句があります。それは創世記1:31です。
『神は、造ったすべてのものを御覧になった。それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。』 
 天地創造の第一日から神は様々なものを創り、第六日には人間を創造し、これまでのすべてのものをご覧になり、「極めてよかった。it was very good.」と評価されています。ここでは、神が創造された「素晴らしき世界」を神自身が讃えているのであります。
                  
 ちなみに今年、2021年はルイ・アームストロング生誕120年、没後50年の記念の年です。以前はルイ・アームストロングの生年月日は1900年7月4日とされていました。ルイ・アームストロングの生誕に関する真実が発見されたのは、彼の死後20年が経ってからでした。ニューオリンズにあるカトリック教会で、洗礼の記録を誰かが調べている時に真実が発見されたのです。正しいルイ・アームストロングの誕生日は1901年8月4日です。ルイ・アームストロングカトリックで幼児洗礼を受けていたのです。そして、人種差別が厳しかった時代を生き抜いたのです。そのサッチモが「この世界は素晴らしい」と歌い上げています。私たちも、サッチモに習って、この世界は「極めて良い」と高らかに宣言したいと思います。