マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『レイ・チャールズとキリスト教③』

 前々回のブログで、レイ・チャールズの曲の、一見世俗と思える歌詞の中に聖書のメッセージが込められているのではないかと述べました。確かに、キリスト教や神の愛をダイレクトに歌ったものはほぼないと思われます。大ヒット曲の「我が心のジョージア」でも「愛さずにはいられない」でもです。
 また、彼は少年の頃ジョージア州フロリダ州の教会でゴスペルを歌って以来、50年に及ぶライブ活動でもゴスペルはほとんど歌っていなかったようです。
 ところが、彼の死の約1年半前の2002年12月に有名なゴスペル・クワイアと共にゴスペル・コンサートを開催したのです。それは帰天を前に、彼の音楽のホームグラウンドに戻ったかのようです。私はそのコンサートの模様をこのDVD「レイ・チャールズ ゴスペル・コンサート」で見て(聞いて)います。

 このウィスコンシン州グリーンベイで行われたライブで、レイ・チャールズはジュピレーション・クアイアをリードして有名なゴスペルやクリスマス・ソングを堂々と、そして水を得た魚のように生き生きと演奏しています。
 このコンサートの中の“Oh Happy Day”を下のURLで聞く(見る)ことができます。Ray Charles And The Voices Of Jubilaton, Oh, Happy Day
https://www.youtube.com/watch?v=wv5n_eCGkvM

 ここでは、ゴスペル初のヒット曲で映画「天使にラブソング2」でも再び脚光を浴びた「Oh Happy Day」を、全員が天を仰ぎワン・ボイスとなり、叫び踊る様子を目撃できます。「Oh Happy Day」の歌詞と訳は以下の通りです。

『Oh Happy Day』 作詞・作曲:エドウィン・ホーキンズ(Edwin Hawkins)

Oh happy day (oh happy day)
When Jesus washed (when Jesus washed)
Washed my sins away (oh happy day)
Oh happy day (oh happy day)
ああ幸せな日
エス様が、私の罪を清めて(赦して)くださったから
私の罪は洗い流された。
ああ、なんて幸せな日

He taught me how (oh, He taught me how) 
To wash (to wash, to wash) Fight and pray (to fight and pray)
And he taught me how to live rejoicing
yes, He did (and live rejoicing)
Oh yeah, every, every day (every, every day)
(oh yeah) Every day!
主は教えてくださった 
どうやって清め、どうやって戦い、祈るのかを。
それから、どうやって喜びとともに生きるのかを、
そう、主は教えてくださった。
毎日、毎日。毎日。

I'm talking about that happy day (oh happy day)
He taught me how (oh yeah, how)
To wash (to wash) Fight and pray (sing it, sing it, c'mon and sing it)
And to live yeah, yeah, c'mon everybody (and live rejoicing every, every day)
Sing it like you mean it, oh....
私は幸せな日について話している。
主が教えてくれた(どうやって)
清めて、戦って、祈るのかを(歌おう、さあ、歌おう!)
それから、どうやって喜びとともに生きるのかを、
あなたが意味することを歌おう!

 この曲は、主イエス様によって自分の罪が清められた喜びに溢れています。この歌詞の元になった聖句は「コリントの信徒への手紙二 6章2節」です。
『なぜなら、「私は恵みの時に、あなたに応え 救いの日に、あなたを助けた」と神は言っておられるからです。今こそ、恵みの時、今こそ、救いの日です。』 イエス様を知り、イエス様により清められ(罪赦され)、救われた日、この日こそ恵みの時であり「Oh Happy Day」なのです。
 この喜び、それは神から守られ神とつながっている喜びです。詩編第16編を思い浮かべました。こうあります。

第16編
1 神よ、わたしを守ってください∥ わたしはみもとに逃れます
2 主に向かってわたしは叫ぶ、「あなたはわたしの主∥ あなたのほかに幸せはない」
3 地にある聖徒たちに∥ わたしの大きな喜びがある
4 ほかの神々のもとに走る者は苦しみを増す∥ わたしは血の祭りを献げず、その名を口にすることはない
5 主よ、あなたはわたしの受ける譲り、わたしの受ける杯∥ わたしの行方を決める方
6 測り縄はわたしのために良い所に落された∥ わたしの受けたものはすばらしい
7 わたしに勧めを与えてくださった主をたたえよう∥ 夜わたしは深く悟る
8 わたしは絶えず主を思う∥ 神はわたしの右におられ、わたしは揺るがない
9 心は喜びに満ち溢れ∥ 体は安らかに憩う
10 神よ、あなたはわたしを死の国に見捨てられず∥ あなたを敬う人が朽ち果てるのを望まれない
11 あなたは命の道を示してくださる∥ み前には溢れる喜び、みもとには永遠の楽しみがある

 人生の最後に病と闘いながら原点に戻ってゴスペルを歌ったレイ・チャ-ルズの心中にあった思い、それはこの詩編第16編のような神への信頼から来る喜びではなかったでしょうか?

 1930年に米国南部に黒人として生まれ、子供の頃に全盲となり、盲学校でピアノ等の演奏を学び日曜には教会に通ったレ・チャールズ。世俗の音楽とゴスペルを融合してR&Bを確立し、多くのヒット曲を生み、年間200本以上のライブを50年に渡り続けたレイ・チャールズ。幾多の差別を受け、多くの女性遍歴や麻薬中毒とそこから立ち直る経験等を経て73歳で帰天したレイ・チャールズ。神様は彼の人生をみ守り共に歩んでくださり、レイ・チャールズは神への信頼から来る喜びに満ちて人生を全うしたように思うのです。