マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ザ・ローリング・ストーンズの「Prodigal Son(放蕩息子)」に思う』

 先主日の説教「愚かな金持ちのたとえ」において、自分のためだけに財産を蓄える者を神様が「愚かな者」と呼び、日野原重明医師の「生きることの質」の中で「何かを失うのではないかと心配し思い煩っている人は貧乏人」という言葉を紹介しました。つまり、「愚かな者」は貧しい者ということでした。そこから思い浮かんだ曲があります。それはザ・ローリング・ストーンズの「Prodigal Son(放蕩息子)」という曲です。ビートルズと並ぶロックの大物バンド、ローリング・ストーンズですが、聖書からのたとえ話を曲にしているのは意外と言えるかもしれません。
   私はローリング・ストーンズの「Prodigal Son(放蕩息子)」をこのレコードで聴いていました。1968年発表の「ベガーズ・バンケット」です。

 このレコードは中3の時にストーンズで最初に買ったLPで、繰り返し聞きました(ちなみに最初に買ったシングルは「この世界に愛を(We Love You)」です)。
 このLPのB面の2曲目が「Prodigal Son(放蕩息子)」でした。放蕩息子のことを「貧乏な少年(poor boy)」と表現していました。以下のアドレスで聞くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=humDgJ-SmHI&list=RDhumDgJ-SmHI&index=1 

 歌詞と訳はこうです。

Well , the poor boy took his father's bread 
And started down the road , started down the road
Took all he had and started down the road 
Goin' out in this world , where , God only knows
And that will be the way to get along
そう 貧乏な少年は父親から金を貰って 
旅に出た 旅に出た
行き先は 世界の何処だか分からない
それが1人で生きていく道だ

Well , the poor boy spent all he had
And famine come in tha land , famine come in the land
Spent all he had and famine come in the land
Said , "I believe I'm gonna hire me to some man
And that will be the way I'll get along.
そう 貧乏な少年は持ち金総てを使い果たした
その国に飢饉が来た 飢饉が来た
持ち金総てを使い果たし、その国に飢饉が来た
彼が言った”僕は誰かに雇って貰いたい”
それが生きていく道だ

Well , the man said , "I'll give you a job , boy , To feed my swine ,
Boy , to feed my swine.
I'll give you a job boy' to feed my swine"
And the boy stood there and hung his head and cried
Because that's no way to get along.
そう ある男が言った”雇ってやるぜ 坊や
俺の豚に餌をやる仕事だ
坊や 俺の豚に餌をやるなら
食べさせてやろう 坊や 豚に餌をやるんだ”
その少年はそこに立って頭を下げて泣いた
だって それしか生きる道はない

Said "I believe I'll ride , believe I'll go back home
Believe I'll go back home
Well believe I'll ride , I'll go back home.
Go down the road as far as I can go And that'll be the way to get along.

その少年は言った”旅立とう 家に戻ろう 家に戻ろう
そう 旅立とう 家に戻ろう
精一杯 歩こう
それが生きて行く道だ

Well , the father said ,
"See my son coming after me , Coming home to me"
The father ran and fell down on his kneeds ,
He sung and prayed
"Load , have mercy on me ," I said
そう 父親は言った
”私の息子が私のもとに帰ってくるのをご覧 私の家に戻ってくる”
父親は走って 跪(ひざまず)いて 歌い祈った
”神よ 私に恵みを お与えください”

Well , the poor boy stood there ,
Hung his head and cried , hung his head and cried.
The poor boy stood and hung his head and cried , yeah
Said , "Father , will you look on me as a child?"
そう 貧乏な少年はそこに立ち
頭を下げて泣いた 頭を下げて泣いた
貧乏な少年は立ち 頭を下げて泣いた そして言った
”父さん 僕を子供として見てくれますか?”

Well , the father said to the eldest son
"Kill the father calr and call the family round.
Kill that calr and the call the family round.
My son was lost and now he is found".
Cause that's the way for us to get along , hey
そう 父親は年上の息子に言った
”太った牛を殺し 家族を集めよう
太った牛を殺し 家族を集めよう
私の息子は居なくなったけど戻って来た”
そんな息子を赦すのも生きていく道だ

 この曲は有名なルカによる福音書15:11-32の「放蕩息子(いなくなった息子)のたとえ」に基づいています。ほぼ福音書の内容に忠実と言えます。
 この曲をアルバムに入れて録音したのは、ミック・ジャガー始めローリング・ストーンズのメンバーが自分たちを「放蕩息子」、そして「貧しい者」と意識していたからだと思います。
 先主日の説教でいえば、「貧しい者」とは「愚かな者」の言い換えです。「愚かな者」は、ギリシャ語で「アフローン」という言葉で、「神を知らない者」「神を忘れた者」という意味です。ストーンズの「Prodigal Son(放蕩息子)」の曲では、父(神)を忘れた「poor boy(貧乏な少年)」が回心し、父(神)の許に帰れば赦されることが、歌われています。貧しく愚かな者であっても自分の罪に気づき、方向転換して神に立ち帰れば救われるという真理がここに示されています。
 なお、この曲はロバート・ウィルキンスの「That's No Way To Get Along」が元歌で、彼は、ブルースを歌っていましたが、ある時自分の演奏するパーティーでひどい喧嘩が起こり、それをきっかけに回心し、説教者となりその後は、ゴスペルなどを録音したそうです。やはり人生においては、回心、神に立ち帰ることが大事なのだと思いました。
 ローリング・ストーンズの「Prodigal Son(放蕩息子)」から、このようなことを思い巡らしました。