少し前になりますが、2月15日(水) 午前2時台のNHKラジオ深夜便で「ナット・キング・コール作品集」があり、聞きました。ナット・キング・コール(Nat King Cole)は、アメリカのジャズピアニスト・歌手で、ちょうどその日が彼の命日(1965年 2月15日(45歳で没))であることにちなむ特集でした。
ナット・キング・コールは1919年3月17日、アラバマ州のモントゴメリーに生まれました。父親はバプテスト派の牧師でした。4歳の時に家族とともにシカゴに引越した彼は、教会の聖歌隊で活躍していた母親からピアノを習い、12歳の時には教会のオルガニストをつとめるようになりました。その後、1930年代からピアニストとして活動し、スウィング・ジャズ時代末期の傑出したピアニストとしての業績を残しました。1939年にピアノ、ギター、ベースからなる「ナット・キング・コール・トリオ」を結成しました。
1950年代以降はジャズからポピュラー界に軸足を移し、テレビにも多く出演し、大衆的な人気を得ました。1950年以降の歌唱では、「モナ・リザ」「スターダスト」「ルート66」「トゥー・ヤング」「ネイチャー・ボーイ」「ラブ」などが知られ、深夜便の放送でもこれらの曲が流れました。
私はナット・キング・コールの代表作をこのCD「The Very Best Of NAT KING COLE」で聞いています。
彼の曲で私が一番好きなのは「ネイチャー・ボーイ(Nature Boy)」です。この曲は1948年に8週連続でポップスチャートの1位となりました。以下のURLで彼の演奏を聞く(観る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=dH3xEleSpaE
「ネイチャー・ボーイ(Nature Boy)」は、エデン・アーベズ(eden ahbez)の作詞・作曲です。卓越したバリトン・ボイスで歌われた威厳ある演奏からはコールの技術の高さが分かります。この曲の歌詞と訳は以下の通りです。
Nature Boy ネイチャー・ボーイ
There was a boy A very strange enchanted boy
They say he wandered very far Very far
Over land and sea A little shy and sad of eye
But very wise was he
少年がいた 実に不思議な少年だった
ここから遥か遠くにある
国や海をさまよってきて 少しシャイで悲しげな目
だがとても賢い男だった
And then one day A magic day he passed my way
And while we spoke of many things Fools and kings
This he said to me
"The greatest thing you'll ever learn
Is just to love and be loved in return"
ある日のこと 彼と巡り合わせた
愚者から王者のことまで 語り合ううち
彼はこう言った
「この世で一番の幸福とは 愛を捧げ 愛に与ること」
"The greatest thing you'll ever learn
Is just to love and be loved in return"
「この世で一番の幸福とは 愛を捧げ 愛に与ること」
「Nature Boy」を作詞・作曲したエデン・アーベ eden ahbez(1908〜1995)は、'40年代からカリフォルニアで自然回帰生活を送り、ヒッピーの元祖ともいわれています。大文字表記に値する言葉は“God(神)”と“Infinity(無限大)”だけであるという理由から、彼は自分の名前をすべて小文字で記すような男でした。
愚者から王者のことまで語り合い「この世で一番の幸福とは 愛を捧げ 愛に与ること」と言う「ネイチャー・ボーイ(Nature Boy)」はイエス・キリストのことではないか、と私には思えます。
ここから、ヨハネによる福音書15章9節の御言葉を思い浮かべました。イエス様のお言葉です。
「父が私を愛されたように、私もあなたがたを愛した。私の愛にとどまりなさい。」
「愛に与ること」とは、イエス様の愛にとどまることではないでしょうか? そうするとき他の人に愛を捧げることができ、それこそがこの世での一番の幸福であるといっているように思うのです。
「Nature Boy」を作ったアーベは、'47年に自作をナット・キング・コールに売り込み、譜面を見たコールが曲を気に入ったそうです。それは、牧師の子として幼い頃からキリスト教に親しんでいたナット・キング・コールが「Nature Boy」の中に流れるキリスト教精神に惹かれて気に入りコンサートで披露し、レコード化したと考えます。
ナット・キング・コールの音楽の基にはキリスト教があり、多くの聴衆に歓迎されたのも、その精神のゆえと私は思うのであります。