マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ローリング・ストーンズ「スウィート・サウンズ・オブ・ヘヴン」に思う』

 一週間前に、ビートルズの新曲について記しましたが、ビートルズのライバル・バンドのローリング・ストーンズも、一ヶ月前の10月20日に最新アルバム「ハックニー・ダイアモンズ」を発表しました。
 早速CDを購入し、聞きました。

 このアルバムで一番心惹かれた曲が「スウィート・サウンズ・オブ・ヘヴンSweet Sounds of Heaven」でした。この曲ではレディー・ガガと共演しています。この曲のライブ映像を以下のURLで見ることができます
 https://www.youtube.com/watch?v=Wt3ISLkIS38

 現在のローリング・ストーンズのメンバーは、80歳のミック・ジャガーと79歳のキース・リチャーズ、そして76歳ロン・ウッドの3人です。この曲でも年齢をまったく感じさせないパフォーマンスで、37歳のレディー・ガガに負けていません。なお、アルバムではスティーヴィー・ワンダーがピアノとキーボードでゲスト参加しています。
 Sweet Sounds of Heavenの歌詞と和訳を下に示します。Jagger/Richardsの作詞・作曲で、とても宗教的な内容です。

   Sweet Sounds of Heaven  (天の妙なる調べ)

I hear the sweet, sweet sounds of Heaven
Falling down, falling down to this earth
I hear the sweet, sweetest sounds of Heaven
Drifting down, drifting down to this earth
Bless the father, bless the son, hear the sound of the drums
As it echoes through the valley and it bursts, yeah
Let no woman or child go hungry tonight
Please protect us from the pain and the hurt, yeah
天の妙なる調べが聞こえる
この地に舞い落ちる   舞い落ちる
天の最高に妙なる調べが聞こえる
この地にゆっくりと舞い落ちる   ゆっくりと舞い落ちる
父に祝福を、子に祝福を 
太鼓の音が谷にこだまし響くのが聞こえる
今晩、女も子供も飢えることなく
苦しみや痛みから我々をお守りください

I smell the sweet scents, sweet scents of Heaven
Tumbling down, tumbling down to the earth
I hear the sweet sounds, sweet sounds of children
And they're praising the land of their birth
No, no, I'm not, not going to Hell in some dusty motel
And I'm not, not going down in the dirt, yes, yes, yes
I'm gonna laugh, I'm gonna cry
Eat the bread, drink the wine
'Cause I'm finally, finally quenching my thirst, yeah
天の甘美な香りがする   甘美な香りが
地に転がり落ちる  転がり落ちてくる
子供たちのとても甘い声が聞こえる
彼らは生誕の地を讃えている
いやだ 埃だらけのモーテルで地獄に向かっているわけではない
そして、泥に沈んでいくわけでもない、そうだ
笑って泣いて
パンを食べ、ワインを飲む
やっと、ようやく渇きを癒やせるのだから

You can't have a light without a little shadow, yeah
Always need a target for your bow and arrow
I want to be drenched in the rain Of your heavenly love, oh, yeah, c'mon
影のない光などない
弓矢には必ず的が要る
あなたの神々しい愛の雨に浸りたい、さあ

Let the music play loud, let it burst through the clouds
And we all feel the heat of the sun, yeah
Yeah, let us sing, let us shout, let us all stand up proud
Let the old still believe that they're young, yeah
雲を突き破るほど大きな音で音楽をかけよう
そうすれば 太陽の熱を感じる
そうだ、歌って叫んで胸を張って立ち上がろう
年寄りもまだ若いと思わせよう

Sweet, sweet sound  Sounds so sweet
Sounds so sweet
Heaven, Heaven
Down, falling down to this earth
最高に妙なる調べ  魅惑的な調べ
美しく、優しく聞こえる
天、天
この地に舞い落ちる   舞い落ちる

I smell the sweet, sweet scents of Heaven
Coming down, coming down to the earth (from the earth)
Hear the gods laughing from above (of Heaven)
Falling down, falling down to this earth, oh, oh, oh, oh
Let me lay down and sleep
Yeah, yeah, Heaven, Heaven
天の甘美な香りがする   甘美な香りが
地に降りてくる、落ちてくる(地から)
天上から神々の笑い声が聞こえる
この地に舞い落ちる  舞い落ちる おお
横になって眠りにつこう
ああ、天、天

 曲の冒頭「I hear the sweet, sweet sounds of Heaven(天の妙なる調べが聞こえる)」から、すぐに聖歌91番「荒野の果てに」を思い浮かべました。イエス様の降誕の時に天使たちが神を讃美して歌った曲です。この聖歌の1節はこうです。
「荒野(あらの)の果てに 夕日は落ちて 
 妙(たえ)なる調べ 天(あめ)より響く
 グロリア、イン エクセルシス デオ    グロリア、イン エクセルシス デオ
 (ラテン語で「いと高きところには栄光、神にあれ」の意味)」

 この部分の英語の歌詞はこうです。
「Angels we have heard on high  Sweetly singing over the plains 私たちは天からの天使たちの妙なる歌が野辺に満ちるのを聞きました)」
 ミックとキースは、この歌詞からインスパイアされてこの曲の歌詞を書いたように思います。
 ローリング・ストーンズには暴力的なイメージがありますが、これまでも信仰的な曲を結構書いています。アルバム「ベガーズ・バンケット」の中の「放蕩息子」や「地の塩」、アルバム「レット・イット・ブリード」の中の「無情の世界」等々です。
 今回の「Sweet Sounds of Heaven」では、「Please protect us from the pain and the hurt(苦しみや痛みから我々をお守りください)」や 「I want to be drenched in the rain of your heavenly love(あなたの神々しい愛の雨に浸りたい)」など、かなり信仰的な表現が多く見られます。
 また、「Eat the bread, drink the wine 'Cause I'm finally, finally quenching my thirst(パンを食べ、ワインを飲む やっと、ようやく渇きを癒やせるのだから)」のように、「イエス様の御聖体と御血をいただくことで生きる上での渇きが癒やされる」という「聖餐論」にまで立ち入った内容になっています。

 今度の主日降臨節主日で教会暦では大晦日であり、12月3日から新しい年になりアドベント(降臨節待降節)が始まります。「I hear the sweet sounds, sweet sounds of children And they're praising the land of their birth (子供たちのとても甘い声が聞こえる 彼らは生誕の地を讃えている)」というのは、まさにイエス・キリストの御降誕を讃えていると言えます。
「今日ダビデの町に、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」(ルカによる福音書2:11)
 天使が羊飼いたちに語ったこの言葉をおぼえて、これからの季節を過ごしていきたいと思います。
 ローリング・ストーンズ「スウィート・サウンズ・オブ・ヘヴン」からこのようなことを思い巡らしました。