マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ピーター・ポール&マリー "Don't Laugh at Me" と「主の御心」』

 去る9月16日は、1960年代に多くの社会派のフォークソングを歌ってヒットさせたピーター・ポール&マリーのマリー・トラヴァースの命日でした。彼女は2009年9月16日に、73歳でこの世を去りました。その日のNHKラジオ深夜便でこのグループの特集をしていました。この番組で一番心に残った曲が "Don't Laugh at Me" でした。
 私はこの曲を2005年でリリースされた、このCD「The Very Best of Peter, Paul & Mary」で聞いています。

 ピーター・ポール&マリーの "Don't Laugh at Me" は以下のURLで聞くことができます。この映像では、障害のあるアスリートたちの姿が取り上げられ、持てる力を発揮すること、共に生きることの素晴らしさなどを感じさせます。
https://www.youtube.com/watch?v=ziLiIPViM2E

"Don't Laugh at Me"の歌詞と和訳を下に記します。

   「Don't Laugh At Me  (私を笑わないで)」

I'm a little boy with glasses The one they call the geek 
A little girl who never smiles 'Cause I've got braces on my teeth 
And I know how it feels To cry myself to sleep.
私は眼鏡をかけた小さな男の子です 彼らがオタクと呼ぶもの
決して笑顔を見せない少女です なぜなら私は歯を矯正しているから
そして、私はどのように感じているか知っています 泣きながら眠って

I'm that kid on every playground Who's always chosen last
A single teenage mother Tryin' to overcome my past
You don't have to be my friend Is it too much to ask?
私はどの遊び場でもいつも最後に選ばれる子供です 
過去を克服するよう努めている10代のシングルマザーです 
私の友達である必要はありません 質問しすぎですか?

Don't laugh at me, don't call me names Don't get your pleasure from my pain
In God's eyes we're all the same
Someday we'll all have perfect wings Don't laugh at me.
私を笑わないで、悪口を言わないで 私の痛みを喜ばないでください
神の目には私たちは皆同じです
いつか私たちは皆完璧な翼を持つでしょう 私を笑わないでください

I'm the cripple on the corner You pass me on the street
I wouldn't be out here beggin' If I had enough to eat
And don't think that I don't notice That our eyes never meet.
私は角にいる体が不自由な者です あなたは通り過ぎていきます
私はここにいません 十分食べることができれば
気づかないと思わないでください 目が合わないことをです

I lost my wife and little boy Someone crossed that yellow line
The day we laid 'em in the ground Is the day I lost my mind
Right now I'm down to holdin' This little cardboard sign.
私は妻と小さな男の子を亡くしました 誰かがその黄色い線を越えました
彼らを地に埋めた日 その日に私は心を失いました 
今はただ、この小さな段ボールの看板を持つだけです

I'm fat, I'm thin, I'm short, I'm tall
I'm deaf, I'm blind, hey aren't we all?
私は太っていて、痩せていて、背が低くて、背が高い
私は耳が聞こえなくて、目が見えない、でも私たちは皆そうではないですか?

Don't laugh at me, don't call me names Don't get your pleasure from my pain
In God's eyes we're all the same
Someday we'll all have perfect wings Don't laugh at me.
私を笑わないで、悪口を言わないで 私の痛みを喜ばないでください
神の目には私たちは皆同じです
いつか私たちは皆完璧な翼を持つでしょう 私を笑わないでください

 ここには多種多様な人々が現れています。眼鏡をかけた男の子、歯の矯正のため笑わない少女、いつも最後になる子ども、10代のシングルマザー、体が不自由な人、お腹をすかしている人、妻と小さな男の子を亡くした人、等々です。そして、太っていたり痩せていたり、背が高かったり低かったりします。さらに、耳が聞こえなくて耳が見えない、私たちは皆そうではないかと、問いかけています。繰り返し、「私を笑わないで、私の痛みを喜ばないで」と訴え
「神の目には私たちは皆同じ」という言葉が心に響きます。そして、私たちは皆完璧な翼を持って神の国に迎え入れられるということを言っているのだと思います。

 「神の目」とは、言い換えれば「神(主)の御心」であると言えます。どのような人も神は等しく見ていて、それが主の御心であるというのだと思います。この世界には多種多様な人々がいて、その人たちを神様は等しく愛しておられるのです。それが主の御心です。

 先日私の司牧する教会のFさんという信徒が62歳で天に召されました。現代では若死にと言えると思います。しかも、急激に病状が悪化しての帰天でした。「神様、なぜこんなに早くですか?」という問いを誰もが持ったことでしょう。私は「主の御心は何なのか?」と思い巡らしました。
 思い当たったのが旧約聖書続編の知恵の書4章で、先日の葬送式で引用しました。そこには「正しい人の若死に」を記した箇所があります。
 知恵の書4章7・11・13・14節にこうあります。
「正しい人は若死にしても 憩いのうちに過ごすこととなる。
 悪が彼の聡明さを変えてしまわないように 偽りが彼の魂を欺かないように 彼はこの世から取り去られた。
 彼は僅かの間に完成され、長い歳月を満たした。
 彼の魂は主の御心に適った。 それゆえに、主は急いで彼を悪の中から 取り去られたのである。」

 「彼」は三人称の代名詞で、明治時代までは男女を問わず用いられました。
 私たちには計りがたいことですが、神様はFさんの聡明さを保ち、62年という生涯で人生を完成され、魂が主の御心にかなったので取り去ったのだと思います。そして若死にされたFさんは、今は主と共に憩いのうちに過ごされていることを思いました。

 この世界には多種多様な人々がいますが、神様はどなたも等しく愛しておられるのです。神の目には私たちは皆同じです。私たちは時に主の御心が分からなくなることがありますが、神のなさることには必ず意味があり、それも愛するが故のことなのだと思います。そして私たちは、いつか皆完璧な翼を持って神の国に迎え入れられるでありましょう。