マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『バート・バカラック「世界は愛を求めている」に思う』

  少し前になりますが、去る2月8日はバート・バカラックの命日でした。昨年のこの日に逝去されたのでした。この日のNHKラジオ深夜便のロマンチックコンサートはバート・バカラック特集でした。この中で一番心に残ったのがジャッキー・ディシャノンが歌った「世界は愛を求めている(What the World Needs Now Is Love)」でした。
「世界は愛を求めている」は、ハル・デヴィッドが作詞しバート・バカラックが作曲した1965年の楽曲です。ジャッキー・デシャノンが歌いヒットしました。1965年7月24日から7月31日にかけてビルボードHot100で2週連続7位を記録し、カナダでは1位を記録しました。
 1968年6月5日、ロバート・ケネディがロサンゼルスで撃たれた折、彼が翌日に死ぬまでの間、同市のラジオ局は夜を徹して繰り返し本作品をかけ、死亡後も数日間そのことは続けられたそうです。
 私はジャッキー・ディシャノンの「世界は愛を求めている」をこのCD で聴いています。「Sweet Melodies」というバート・バカラックが作曲したヒット曲を集めたアルバムです。

 ジャッキー・ディシャノンの「世界は愛を求めている」は以下のURLで聞く(見る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=gub8xY-b1Xk

「世界は愛を求めている(What the World Needs Now Is Love)」の歌詞と和訳は以下の通りです。

What The World Needs Now Is Love  世界は愛を求めている

What the world needs now is love, sweet love
It's the only thing that there's just too little of
What the world needs now is love, sweet love
No, not just for some but for everyone
  世界に今必要なものは愛、優しい愛
 手に入れにくい たった一つのもの
 今世界が求めているのは愛、優しい愛
 ただ誰かのためだけでなく みんなのために

Lord, we don't need another mountain
There are mountains and hillsides enough to climb
There are oceans and rivers enough to cross
Enough to last 'til the end of time
 主よ、もう山は必要ありません
 登りきれないほどの山や丘があるからです
 渡りきれないほどの海や川も
 人生の時間を最後まで使っても足りないほど
 
Lord, we don't need another meadow
There are cornfields and wheat fields enough to grow
There are sunbeams and moonbeams enough to shine
Oh, listen, Lord, if You want to know
 主よ、もう牧草地は必要ありません
 トウモロコシ畑も小麦畑も十分にあるからです
 太陽の光も月の光も十分です
 どうかお聞きください、主よ、もしお知りになりたいのなら

 世界ではウクライナパレスチナでの戦闘、トルコやミャンマーでの内戦、国内では能登半島地震等の現実を見ると、「世界は愛を求めている」は緊急なる心の叫びであると思います。
 そして、この歌では「Lord, (主よ)」と神に語りかけ、山や牧草地でなく、「sweet love(優しい愛)」が必要である、それを世界が求めていると歌っています。「strong love」でなく「sweet love」というのが何とも分かる気がします。

 「太陽の光も月の光も十分」という歌詞から、ヨハネの黙示録21章23節を思い浮かべます。こうあります。
「この都には、それを照らす太陽も月も、必要でない。神の栄光が都を照らし、小羊が都の明かりだからである。」
 来たるべき世(終末)の新しいエルサレムでは、「太陽も光も必要ない」というのです。この聖句の前の22節はこうです。
「私は、この都の中に神殿を見なかった。全能者である神、主と小羊とが神殿だからである。」
  父なる神と子なる神(キリスト)が統治する世では、太陽も光も必要ないというのです。逆にいえば、神の統治(神の国)こそが必要ということなのだと思います。

 今、大斎節に入って一週間が過ぎましたが、今年のテーマ聖句は「愛はすべてを完全に結ぶ帯です。」(コロサイ 3:14)です。「世界に今必要なものは愛、優しい愛」であり、それこそが様々なことを完全に結ぶことのできる帯だと思うのです。
 バート・バカラックの「世界は愛を求めている」から、このようなことを思い巡らしました。