マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『祈りの構造』

 前々回の「聖書と祈りの会(Zoom)」の中で祈りの4つの内容ACTSについて学び、前々回のブログで、そのことについて記しました。その後、この内容の前提のことを示す必要があると思いました。それは特に、祈りの「最初」と「最後」の言葉についてです。そこで、前回の「聖書と祈りの会(Zoom)」では基本的な「祈りの構造」について学びました。参加者には事前に資料をメールの添付で送りました。それは、信徒教養双書「聖公会の礼拝と祈祷書」(森紀旦編)の中にある文章です。

 この本の中のP.26・27にある、竹田真主教様が執筆された「特祷の構造」についてです。特祷の構造が自由祈祷の構造と同様であると考えたからです。先日、「聖書と祈りの会」の参加者等に添付した資料は以下のものです。

 この資料では「特祷の構造」について5つの部分を示しています。それは以下の5つです。
(1)神への呼びかけ
(2)告白
(3)祈願
(4)祈願の目的の表明
(5)結びの言葉
 それぞれ少し解説します。

(1)神への呼びかけ
 祈りの最初には、必ず父なる神への呼びかけを行います。「主よ」「神よ」だけの場合もありますが、「全能の」「あわれみ深き」等の形容詞がつくことが多いです。「恵みに富みたもう主なる神様」「私たちの主イエス・キリストの父なる神様」といった具合です。この部分は祈りにおいて必須です。
(2)告白
 ACTSの中のConfession(懺悔・告白)に当たります。これには、神の救いの働きについての特質の告白と、人間の弱さについての告白の二種類があります。前者の例は「すべてのものの創造主である神よ」「天地万物を治める父なる神よ」等、後者の例は「私は思いと言葉と行いにより罪を犯しました」「罪を赦してくださるのは主だけです」等が考えられます。
(3)祈願
 実際の祈りの言葉です。ここでは、この部分も聖句に基づいているものが多いと指摘されています。竹田主教様は「われわれの祈りの言葉も基本的には聖書の言葉を規範とすべきである」と述べています。例えば、「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯を私から取りのけてください。しかし、私の望みではなく、御心のままに。」(マルコによる福音書 14章36節)や「父よ、私の霊を御手に委ねます。」(ルカによる福音書23章46節)等が考えられます。
(4)祈願の目的の表明
 ある特祷には、祈願の目的となる希望がつけられています。この目的は神の栄光に向けられています。例えば「この願いはあなたを証するためです」等が挙げられます。
(5)結びの言葉
 これは常に「主イエス・キリスト(のみ名)によって(祈ります、お願いします、み前にお捧げします)」です。キリストが私たちの祈りの唯一の仲介(仲保者)であり、とりなしであるからです。

 前々回と今回の祈りの構造とを合体させると、以下のようになります。
(1)神への呼びかけ  
 「全能の父なる神様」「恵みに富みたもう主なる神様」等。
(2)祈りの内容
 ACTS(賛美・懺悔(告白)・感謝・祈願)+代祷を意識して、この中から組み合わせる。
(3)結びの言葉
 「主イエス・キリスト(のみ名)によって(祈ります、この祈りをみ前にお捧げします)」等。 
 皆さん、ぜひ、これまでのことを参考に自分の言葉でお祈り(自由祈祷)してみてください。祈りとは父なる神様との対話です。肉親と話すように率直に語り合ってほしいと思います。