マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『「ザ・ビートルズ:Across the Universe」に思う』

 先主日福音書「マルタとマリアの話」では、主イエス様のみ言葉を聴くことの重要性が語られました。神の愛を示すことの第一歩が神の言葉に耳を傾けることであり、それが永遠の命へと通じる道であるということでした。
 言葉の重要性については、今、見ているビートルズの「Get back sessions」でジョン・レノンリードボーカルを務めた「Across the Universe」の曲を思い浮かべます。下のアドレスから垣間見ることができます。
 https://www.youtube.com/watch?v=iLtAzE3izng

「Across the Universe」の歌詞と和訳を示します。

Words are flowing out like endless rain into a paper cup
They slither wildly as they slip away across the universe
Pools of sorrow waves of joy are drifting through my opened mind
Possessing and caressing me
Jai guru deva om
Nothing's gonna change my world (×4)

言葉が降り止まない雨のように紙コップに溢れ
激しい流れとなって、宇宙の彼方へ消えていく。
悲しみの溜まりと喜びの揺らぎは僕の心を漂いながら
僕を包み、撫でていく。
ジャイ・グル・デヴァ・オム(我らの道師よ、神に栄光を)
何ものも僕の世界は変えられない

Images of broken light which dance before me like a million eyes
They call me on and on across the universe
Thoughts meander like a restless wind
Inside a letter box they
Tumble blindly as they make their way
Across the universe
Jai guru deva om
Nothing's gonna change my world(×4)

屈折した光の残像が無数の瞳のように僕の目の前で踊り出し
宇宙の至る所から僕に呼びかける。
思考は郵便箱の中のつむじ風のように交錯し
闇雲に転げまわりながら
宇宙の至る所へ進んでいく
ジャイ・グル・デヴァ・オム
何ものも僕の世界は変えられない

Sounds of laughter shades of life are ringing
Through my open ears inciting and inviting me
Limitless undying love which shines around me like a million suns
It calls me on and on, across the universe
Jai guru deva om
Nothing's gonna change my world(×4)

笑い声と生命の影が僕の耳で鳴り響き
僕の心をかき立て、僕を招き入れる。
際限の無い不滅の愛は無数の太陽のように、僕を囲んで輝き
宇宙の至る所から僕に呼びかける
ジャイ・グル・デヴァ・オム
何ものも僕の世界は変えられない

 哲学的な難解な歌詞をジョンが歌い上げています。繰り返し歌われる「Jai Guru Deva Om…」は、サンスクリット語で「我らの導師よ、神に栄光を)」の意味です。この曲の歌詞の背景には、当時ビートルズが影響を受けたヒンズー教の教祖の教えが反映していると言われますが、私にはキリスト教の影響を感じずにはいられません。
 冒頭の「Words are flowing out like endless rain into a paper cup. They slither wildly as they slip away across the universe. (言葉が降り止まない雨のように紙コップに溢れ 激しい流れとなって、宇宙の彼方へ消えていく。)」は、主イエス様である言葉(ロゴス)が全世界、全宇宙に溢れて広がっていくというイメージです。
 ヨハネによる福音書1章 14節にこうあります。
「言は肉となって、私たちの間に宿った。私たちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。」
  この「言」がロゴスでありイエス様を示しています。そして、この節では、神が私たちを愛するがゆえに人となりこの世に現れたことを意味しています。Johnはヨハネの英語表記です。ヨハネは、イエス様から特別に愛され、イエス様が十字架につけられた時もそれを目撃した唯一の弟子です。John(ヨハネ)が「Words are flowing out like endless rain into a paper cup.(言葉が降り止まない雨のように紙コップに溢れ)」と歌っているのも偶然とは思えません。
 最後の節の「Limitless undying love which shines around me like a million suns. 
It calls me on and on, across the universe. (際限の無い不滅の愛は無数の太陽のように、僕を囲んで輝き 宇宙の至る所から僕に呼びかける。)」神の愛は太陽のように全ての人に注がれていることを示していると考えられます。
 「Across the Universe」からこのようなことを思い巡らしました。ビートルズの曲にはキリスト教の影響が大きくあるというのが私の実感です。