マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『「ヤコブの天の梯子」と「天国への階段」』

 先主日の説教で、創世記32章のヤコブが神様と格闘し「イスラエル」と呼ばれるようになったことについて述べました。また、10月6日のブログでは、聖歌519「主よ みもとに近づかん」が創世記28章のヤコブの夢に由来していることを記しました。
 今月の幼稚園の誕生会で「ヤコブとてんのはしご」の絵本を読みましたが、そのオリジナルの聖句は創世記28:10-12の「ヤコブの天の梯子」でした。その箇所を以下に示します。
ヤコブはベエル・シェバをたって、ハランへと向かった。ある場所にさしかかったとき、日が沈んだので、そこで一夜を過ごすことにした。彼はそこにあった石を取って頭の下に置き、その場所に身を横たえて眠り、夢を見た。すると、先端が天にまで達する階段が地に据えられていて、神の使いたちが昇り降りしていた。』
 ここから分かるのは、神様の方から梯子(階段)を降ろして私たちを天国に招いておられるということです。私たちが天国に迎えられるときも、天から梯子(階段)が降ろされるということであります。

 「天国」と「階段」で思い浮かぶ曲があります。それはレッド・ツェッペリンの「天国への階段(Stairway to Heaven)」です。
 私はこの曲を、1971年9月のツェッペリンの初来日の武道館ライブで初めて聞きました。それは私が高校2年の時で、この時はこの曲の入ったアルバムもまだ発売されていなくて、「クラシックのようなメロディアスな曲だな」と思ったことを覚えています。この年の暮れには4枚目のアルバムの中の曲として発売されました。このアルバム(LP)はクレジットにグループ名もタイトルもなく話題になりました。私はすぐに購入し、何度も聞きました。ケルトの音楽にも影響を受けた英国のバンドならではのサウンドです。

 以下のURLでこの曲のライブを聞く(観る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=xbhCPt6PZIU

「天国への階段(Stairway to Heaven)」はジミー・ペイジJimmy Page)とロバート・プラントRobert Plant)の共作ですが、作詞はロバート・プラントによると考えられています。冒頭と最後の節の歌詞と和訳を示します

「天国への階段(Stairway to Heaven)」

There's a lady who's sure
All that glitters is gold
And she's buying a stairway to heaven
ある貴婦人は信じてる
光り輝くものは全て黄金だと
彼女は買おうとしてる
天国への階段を

When she gets there she knows
If the stores are all closed
With a word she can get what she came for
Ooh, ooh, and she's buying a stairway to heaven
彼女がそこへ着いたら
店が全部閉まっていても
ひと言で お目当てのものが手に入る
彼女は買おうとしてる
天国への階段を

(中略)

Dear lady, can you hear the wind blow
And did you know
Your stairway lies on the whispering wind?
親愛なる貴婦人さま 風の音が聞こえますか
そしてご存じでしたか
天国への階段は ささやく風に横たわっているのです

And as we wind on down the road
Our shadows taller than our soul
There walks a lady we all know
Who shines white light and wants to show
そして道を進み行くと
我々の影は魂よりも高く
皆が知る貴婦人がそこを歩き
白い光を放っている

How everything still turns to gold
And if you listen very hard
The tune will come to you at last
When all is one and one is all
To be a rock and not to roll
And she's buying a stairway to heaven
彼女は示したい すべてが黄金に変わる様を
そこでじっと耳をすませば
ついに思い出される あの調べ
すべてが一つに 一つがすべてになるとき
一つの岩になり 転がりはしない
彼女は買おうとしてる  天国への階段を

 「天国への階段は ささやく風に横たわっている」とありますが、「風」はヘブライ語で「ルーアッハ」、ギリシャ語で「プネウマ」、聖霊とも訳せます。この階段は聖霊に包まれていると考えます。また、この曲には a ladyが登場します。英語で lady といえば聖母マリアを思い浮かべます。「白い光を放っている」とあるところから聖人であることは間違いないと考えます。
 このようにこの曲はかなりキリスト教的な曲と言えますが、教理的に考えれば真逆であると言えると思います。この貴婦人は天国に向かう階段をお金で買えると思っているからです。もしかしたらアイロニーかも知れません。アイロニーとは、本当の考えや意図と違う考えをほのめかすことによって伝えることです。つまり、天国に登る階段はお金では買えないということを伝えているのです。人の努力や修行により、地上から天に届くことはありません。ましてそのような階段をお金で買うことはできません。ただ、一方的に神が梯子を降してくださり、人は神と出会うのであります。
 この神の恵みを覚え感謝し、日々過ごして参りたいと願います。