マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『絵本「ひかりに つつまれて」に思う』

 私は2019年4月から、玉村町認定こども園「マーガレット幼稚園」のチャプレンをしています。そこで、月一度の誕生会で手遊び歌をしたりや絵本を読んだりして、楽しい雰囲気の中で神様の教えを伝え、子どもたちにキリスト教精神を育んでいます。
 11月7日の誕生会では、手遊び歌「やきいもグーチーパー」をした後、絵本「ひかりに つつまれて」(絵:かすや昌宏 文:渡 洋子 至光社)を読みました。

 とてもよいお話でしたので、紹介したいと思います。静かな教会でお祈りの暮らしをしている男の人が、美しい鳥の声に誘われてついていくと、森の中で光に包まれて・・・。時空を越えた祈りの香りがあふれる絵本です。
 今回の誕生会のねらいと聖句を、以下のように考えました。
○  ねらい
「ひかりに つつまれて」のお話の概要をつかみ、光に包まれた世界の様子や祈ることで天国に導かれることを知り、これからも日々祈っていくことができるよう祈り求める。
○ 聖句
「私は世の光である。私に従う者は闇の中を歩まず、命の光を持つ。」(ヨハネ
による福音書8章12節)

 絵本「ひかりに つつまれて」の本文を下に示します。
『昔 ずっと昔、美しい森に囲まれた 小さな教会が ぽつんとありました。朝もお祈り 昼もお祈り 夜もお祈り。この静かな教会でお祈りの暮らしをしているある男の人は いつも思っていました。「天国ってどんなところだろう」 

 気持ちのいい朝のことです。朝日が差し込む小さな窓に 見たこともない小鳥がやってきて きれいな声で歌い出しました。「なんて美しい声なんだろう」男の人は胸がドキドキして、誰かに呼ばれているような気持ちで小鳥に着いて行きました。小鳥は森の中でまた歌い出しました。すると森に金色の光があふれました。光に包まれた男の人は不思議な喜びで胸が一杯になりました。

 光が踊って花が笑う。木も虫もみんなみんな うれしい気持ちが飛び跳ねる。 

 優しい心があふれてる。魚も水も風もさわさわ ゆらりゆらり ゆうらりゆらり
 星も月も空も歌ってる。心が震えて ありがとうの歌。

 ふと気がつくと、男の人は森の中でぽつんと立っていいました。「天国を見たのかしら・・・」幸せの歌が心の奥に聞こえています。
「大変だ。急がないとお昼のお祈りに遅れてしまう」男の人は急いで教会に帰ります。でも、なんだか周りの様子が違います。
「ただいまぁ」すると、教会にいた人が言いました。「あなたはどなたですか」誰も男の人を知っている人はいませんでした。
 不思議なことです。ほんの少し光に包まれている間に300年も経っていました。』
                        
 不思議な、そして心惹かれるお話でした。
「このお話が『いいな』と思った人?」と挙手を募ると、前の方(3歳以上)のほとんどの子が手を挙げました。
「どこが良かったですか?」と尋ねると・・・お祈りの暮らしをしている人が「天国はどんなところだろう」と思ったところ。森で金色の光に包まれて男の人が喜びで胸が一杯になったところ。優しい心があふれ魚も水もゆらりゆらりするところ。星も月も空も歌って動物も集うところ。ふと気がついて、男の人が森の中でぽつんと立ち、幸せの歌が心の奥に聞こえているところ。男の人が急いで教会に帰り、教会に帰ったら誰も男の人を知らないところ。ほんの少し光に包まれている間に300年も経っていたところ。etc.の答えがありました。「男の人はどこに行ったのでしょうか?」と聞くと、子どもたちは「とてもいいところ。」「天国。」と答えました。
「男の人が素晴らしい世界、天国を見ることができたのはどうしてだと思いますか?」と聞くと、予想外の答えがありました。私が予想した答えは「毎日お祈りをしていたから。」でしたが、ある子から「小鳥が連れて行ってくれたから」という答えが返ってきました。「なるほど」と思いました。素晴らしい答えで、私は思わず「鳥はイエス様かもしれませんね」と言いました。子どもの発想に脱帽です。私はこの後、このように話しました。
「朝も昼も夜もお祈りしていた、教会でお祈りの暮らしをしている男の人は、小鳥に案内されて、光に包まれた素晴らしい世界に行きました。そこは天国かもしれません。この人がそこに行くことができたのは、毎日、朝も昼も夜も、お祈りし、小鳥であるイエス様が案内してくれたからだと思います。私たちも、毎日、お祈りをしています。ずっとお祈りしていればイエス様は私たちを天国に連れて行ってくれるのです。私たちはこれからもずっとお祈りしていきたいと思います。幼稚園を卒園してからもお祈りしてくださいね。そうできるようにお祈りしましょう。」

 最後にこのように祈りました。
「父なる神様、私たちを11月の誕生会に集めてくださりありがとうございます。誕生日を迎えたお友達をお祝いしてください。
 教会でお祈りの暮らしをしている男の人は、光に包まれた素晴らしい天国に行きました。ずっとお祈りしていればイエス様は私たちを天国に連れて行ってくれるのですね。私たちはこれからもずっとお祈りしていきたいと思います。そうできるようお導きください。
 このお祈りを、主イエス様によってお願いいたします。アーメン」

 今回も、子どもたちから新たな教えをいただきました。それは、イエス様が私たちを天国に連れて行ってくださるということです。    
 ヨハネによる福音書1章9節にこうあります。
「まことの光があった。その光は世に来て、すべての人を照らすのである。」
 この光がイエス様です。その光は私たちを照らしています。その光は私たちを包みます。その光は私たちを温かくし、私たちを清めます。
 私たちはもうすぐクリスマスを迎えます。それは、まことの光であるイエス様がこの世界に来てくださった出来事です。イエス様は私たちを照らし、私たちを包んでくださいます。そのことに感謝し、その光に身を委ねて参りたいと思います。