マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ビリー・ジョエル「オネスティ」に思う』

 リクエストにより、ビリー・ジョエル「オネスティ」について私の思うことを記します。
『オネスティ(Honesty)』は、アメリカのシンガーソングライター、ビリー・ジョエルBilly Joel)の1978年のアルバム『ニューヨーク52番街』に収録され、同アルバムから第3弾シングルとして1979年にリリースされました。全米チャートでは24位にとどまりましたが、日本での人気が特に高いようです。
 私は若かりし頃、シングル『ストレンジャー(The Stranger)』を手に入れた後、LP『ニューヨーク52番街』を購入し、愛聴していました。今はこの2枚組のCD「The Essential Billy Joel」で聞いています。

 ビリー・ジョエル「オネスティ」は、以下のYouTubeのURLでOfficial Videoを見る(聞く)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=SuFScoO4tb0

 歌詞と訳を示します。

  Honesty(誠実)

If you search for tenderness It isn't hard to find
You can have the love you need to live
But if you look for truthfulness You might just as well be blind
It always seems to be so hard to give
優しさを探しているのなら 見つけるのは難しくない
生きるために必要な愛を手に入れることができる
でも、真実を求めているなら 目が見えず暗闇で探し回るようなものだ
それを示すのは、いつもとても難しい

Honesty is such a lonely word Everyone is so untrue
Honesty is hardly ever heard And mostly what I need from you
誠実、なんて寂しい言葉 誰もが偽っている
誠実、ほとんど聞くことがない そしてそれはほぼ私があなたに求めるもの

I can always find someone To say they sympathize
If I wear my heart out on my sleeve But I don't want some pretty face
To tell me pretty lies All I want is someone to believe
いつも誰かを見つけることができる 同情してくれる人を
気持ちを打ち明ければいい でも、僕は可愛い顔で
可愛い嘘をつく人はほしくない 私がほしいのは信じられる誰か

I can find a lover I can find a friend
I can have security until the bitter end
Anyone can comfort me
With promises again I know, I know
恋人を見つけることはできる 友だちを見つけることはできる
人生が終わるまで安らぎを得ることもできる
誰でも私を慰めることはできる
また約束をすれば 分かる、分かるのだ

When I'm deep inside of me Don't be too concerned
I won't ask for nothin' while I'm gone But when I want sincerity
Tell me where else can I turn Cause you're the one that I depend upon
私が自分の殻に閉じこもった時は そっとしておいてほしい
そういう時は何も求めてない でも、誠意を必要とする時は
どこを向けばいいか教えてほしい あなたは私が頼れる唯一の人だから

Honesty is such a lonely word Everyone is so untrue
Honesty is hardly ever heard And mostly what I need from you 
誠実、なんて寂しい言葉 誰もが偽っている
誠実、ほとんど聞くことがない そしてそれはほぼ私があなたに求めるもの

 この曲では、優しさや生きるための愛や安らぎを見つけることはできるけれど、真実や誠実を見つけるのはどれだけ大変か、この世の中でそれがどれだけ失われているか、という嘆きが歌われています。しかし、そういう世の中でも、あなたには誠実を持ち続けてほしい、という願いが込められていると考えます。
 ここから思い浮かぶ聖句があります。ガラテヤの信徒への手紙5章 22・23節です。
「霊の結ぶ実は、愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制であり、これらを否定する律法はありません。」
 ここで、パウロは、霊の結ぶ実は9つあると言っています。最初の3つ、「愛、喜び、平和」は私たちと神との関係における実、次の3つ、「寛容、親切、善意」は私たちと他の人との関係における実、そして、最後の3つ、「誠実、柔和、自制」は、私たち自身に関する実です。
 霊の結ぶ実の七番目が「誠実」ですが、ここをギリシャ語で読むと「ピスティス」とありました。「ピスティス」という言葉は、聖書では主に「信仰」と訳されています。有名なコリント人への手紙一13:13の「それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残ります。その中で最も大いなるものは、愛です。」の中の「信仰」がギリシャ語原文で「ピスティス」です。「ピスティス」には、「信仰」・「誠実」という意味の他に「信頼」・「真実」という意味もあります。

 ビリー・ジョエルユダヤ系ですが、カトリック教会に通っていたそうです。
 ビリー・ジョエルが「Honesty、それはほぼ私があなたに求めるもの」と歌う時、そのHonestyには「誠実」のほか「真実・信頼」、そして「信仰」という思いが込められているように思います。「Honesty」は聖霊によって結ぶ実(誠実)の一つであり、希望と愛とともに大いなるもの(信仰)と言えます。それらが、私たちに求められているものであります。
 「Honesty」こそ、このCDのタイトルのように「Essential(必須な、不可欠な)」ものであると考えます。 
 ビリー・ジョエル「オネスティ」から、このようなことを思い巡らしました。