マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ロジェ・ワーグナー合唱団「深い河(Deep River)」に思う』

 去る12月7日(水)に高崎芸術劇場でロジェ・ワーグナー合唱団のコンサートを聞きました。        

 私にとってはコロナ禍に入ってから3年ぶりくらいに行った本格的なコンサート鑑賞でした。ロジェ・ワーグナー合唱団は、抜群なテクニックで、聖歌からフォースター、黒人霊歌等、バラエティーに富む選曲により、楽しめました。パンフレットのプログラムを下に示します。    

 私にとってはコロナ禍に入ってから3年ぶりくらいに行った本格的なコンサート鑑賞でした。ロジェ・ワーグナー合唱団は、抜群なテクニックで、聖歌からフォースター、黒人霊歌等、バラエティーに富む選曲により、楽しめました。パンフレットのプログラムを下に示します。

 「ロジェ・ワーグナー合唱団」は1946年に米国ロサンゼルス市で結成され、1953年には英国エリザベス2世の戴冠式においてバックコーラスを務めました。1992年、ロジェ・ワーグナーが死去して以降は、娘のジャニーヌ・ワーグナーが指揮者を務めています。
 2018年の韓国公演の模様がyoutubeでありました。共通する内容が多かったです。そのURLを下に示します。
https://www.youtube.com/watch?v=LESozWGplcI

  今回のコンサートで一番感動した曲は「深い河(Deep River)」でした。下のURLでロジェ・ワーグナー合唱団の演奏を聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=a3t1T-jn7n0

Deep River(深い河)の歌詞と訳は以下の通りです。

Deep river, my home is over Jordan,
Deep river, Lord,
I want to cross over into campground.
深い河 故郷はヨルダン川の向こう岸
深い河 主よ
河を渡り 集いの地へ行きたい

Oh don't you want to go to that gospel feast,
That promis'd land where all is peace?
Oh deep river, Lord,
I want to cross over into campground.
福音の恵みを求めて
すべてが平穏な約束の地へ
深い河 主よ
河を渡り 集いの地へ行きたい

 この歌詞は、ヨシュアに導かれたイスラエルの人々が、約束の地であるカナンに入ろうとしている状況を歌っています。ヨシュア記1:1-3にこうあります。
『主の僕モーセの死後、主はモーセの従者であったヌンの子ヨシュアに言われた。「私の僕モーセは死んだ。さあ今、あなたとこの民は皆立ち上がり、このヨルダン川を渡りなさい。その先には、私がこの民、イスラエルの人々に与える地がある。私はモーセに告げたとおり、あなたがたの足の裏が踏む所をことごとくあなたがたに与える。』

 神の側からすれば、その地はすでに賜物としてイスラエルの人々に「与えている」のです。「恩寵先行、信仰後続の論理」の例と言えます。この論理はヨシュア記の特徴であり、申命記9章にも記載されています。3節にこうあります。
『しかし今日、あなたの神、主があなたに先立って渡り、焼き尽くす火となり、彼らを滅ぼし、あなたの前に屈服させてくださることを知りなさい。それゆえ、主があなたに語られたとおり、あなたは彼らを速やかに追い払い、滅ぼすことができる。』
 かなり厳しい表現ですが、ここで神が言わんとしていることは、神の恵み(恩寵)は私たちの信仰に先行して与えらるということです。信仰があるから恵みが与えられるのではなく、先に恵みが与えられ、結果として信仰するというのです。これこそ、Amazing Grace(驚くべき恵み)であります。

 ロジェ・ワーグナー合唱団の構成メンバーは白人・黒人・アジア人(韓国人)等からなり、人種や国籍を超えていた点も印象的でした。人種や国籍を隔てていた「深い河(Deep River)」を神の恩寵により渡った世界をコンサートで示していたように思いました。
 「恩寵先行、信仰後続」ということをロジェ・ワーグナー合唱団の黒人霊歌「深い河」から思い巡らしました。