マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ビートルズ「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」に思う』

 前々回のブログで取り上げたビートルズの7枚目のアルバム「リボルバー」のB面最後の曲です。レコーディングはこのセッションの最初にされた曲で、最近購入したエディションではCD2の3曲目(先行発売されたシングル両面の次)に入っています。

 「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」はレノン=マッカートニー名義ですが実質はジョン・レノンの曲で、インドの弦楽器タンブーラの他、サンプリングやテープのループ/逆回転がふんだんに用いられた革新的な曲です。歌詞の内容は、チベットの「死者の書」からインスピレーションを得たそうで哲学的かつ抽象的な内容となっています。次のURLで聞く(観る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=m4BuziKGMy4

The BeatlesTomorrow Never Knows」の歌詞と訳を以下に示します。

Turn off your mind, relax and float downstream
It is not dying, it is not dying
心を消して、力を緩め、下流に漂ってごらん
それは死ぬことではない、死ぬことではない

Lay down all thoughts, surrender to the void
It is shining, it is shining
思考を捨て去り、虚無に身を委ねてごらん
それは輝いている、輝いている

That you may see the meaning of within
It is being, it is being
内なる世界の意味が見えるだろう
それは存在する、それは存在する

That love is all and love is everyone
It is knowing, it is knowing
愛がすべてで、愛とはみんなのこと
それは知るということ、それは知るということ

That ignorance and hate may mourn the dead
It is believing, it is believing
無知や憎しみが、死を嘆くことになるだろう
それが信じるということ、それが信じるということ

But listen to the colour of your dreams
It is not living, it is not living
でも君の夢の色彩に、耳を澄ましてごらん
それは生ではない、それは生ではない

Or play the game “Existence" to the end
Of the beginning, of the beginning
Of the beginning, of the beginning
Of the beginning, of the beginning
あるいは"存在"という遊びをやってごらん、終わりまで
始まりの終わりまで、始まりの終わりまで
始まりの終わりまで、始まりの終わりまで

 なかなか難解な歌詞です。第5段落の「無知や憎しみが、死を嘆くことになるだろう それが信じるということ、それが信じるということ」の意味は「知識や愛があれば死を悲しまなくなる、そのためには信じることが必要」ということだと思います。
 先日、シネマテーク高崎で観た映画「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インディア」で瞑想や黙想の重要性が描かれていましたが、それとも共通するジョンの深い哲学性が表れた作品と言えます。「ジョン」とは「ヨハネ」の英語読みですが、まさに「ヨハネ」の福音書や手紙で示されている深い精神性を感じさせます。ヨハネによる福音書3章5節にこうあります。
『イエスはお答えになった。「よくよく言っておく。誰でも水と霊とから生まれなければ、神の国に入ることはできない。』
 逆に考えれば、水と霊とから生まれれば神の国に入ることができるということです。それは洗礼によってなされると考えます。さらに、ヨハネの手紙一4章 10節にはこうあります。
『私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、宥めの献げ物として御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。』
 私たちより先に神が私たちを愛し、救い主であるイエス様をこの世に遣わしてくださったのです。恩寵が先行し、それは死で終わるものでなく永遠に続くのであります。
 そのようなことを、ビートルズ「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」から思い巡らしました。