マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『リンゴ・スター「明日への願い(It Don't Come Easy)」に思う』

 7月7日は元ビートルズのドラマー、リンゴ・スターの83回目の誕生日です。去る7月3日(月) 午前2時からのNHKラジオ深夜便で彼の作品集をしていました。その中で、一番心に響いたのが「明日への願い(It Don't Come Easy)」でした。私はこの曲を2007年に出たこのCD「ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター」で聞いています。

「明日への願い(It Don't Come Easy)」は、以下のURLでバングラデシュ難民救済コンサートでの演奏を聞く(見る)ことができます。ここでリンゴはジョージ・ハリソンエリック・クラプトンと共に演奏し歌っています。
https://www.youtube.com/watch?v=LyqCV51HH0o

 ザ・ビートルズのすごさはメンバー全員が作詞・作曲をし、全員がボーカルも担当していたことです。ジョンとポールという大天才、ジョージという天才に囲まれ、リンゴはこのバンドの屋台骨を支え、メンバー間の潤滑油にもなっていました。
 「明日への願い(It Don't Come Easy)」の作者クレジットはリンゴの本名"Richard Sarkey"名で、この曲は1971年にリリースされ、キャッシュ・ボックスのチャートでは全米No1となっています。これはビートルズのソロとしてはジョージに次ぐ二人目でした。
「明日への願い(It Don't Come Easy)」の歌詞と訳は以下の通りです。

   「明日への願い(It Don't Come Easy)」

It don't come easy,
You know it don't come easy.
簡単ではない
そう 簡単ではない

Got to pay your dues  if you wanna sing the blues,
And you know it don't come easy.
You don't have to shout or leap about,
You can even play them easy.
愚痴をこぼしたいなら やるべきことをやってからに
そう 簡単ではない
叫んだり 跳ねまわったりしなくていい
あなたはそんなことを簡単にできる

Forget about the past  and all your sorrows,
The future won't last, It will soon be over tomorrow.
過ぎたことは忘れよう あなたの沢山の悲しみも
未来も長くは続かない 明日になれば済んでしまうだろう

I don't ask for much,  I only want your trust,
And you know it don't come easy.
And this love of mine  keeps growing all the time,
And you know it just ain't easy.
多くのことは望まない あなたに信用してほしいだけ
だから そう簡単にはいかないのだから
私のこの愛する想いは いつも募るばかり
そして それも簡単なことではない

Open up your heart,  let's come together,
Use a little love And we will make it work out better.
心を開いて 一緒に歩んでいこう
小さな愛さえあれば 私たちはうまくやっていけるだろう

Peace, remember peace is how we make it,
Here within your reach If you're big enough to take it.
平和…それは私たち次第だ
それは手の届くところにある
大きな気持ちを持ってさえすれば 手に入る

I don't ask for much,  I only want your trust,
And you know it don't come easy.
And this love of mine  keeps growing all the time,
And you know it don't come easy. 
多くは望まない あなたの信頼がほしいだけ
そしてそれは そんなに簡単ではない
私の愛するこの気持ちは いつも高まっている
そしてそれは そんなに簡単ではない

 "It don't come easy"は、英文法的には"It doesn't come easy"になるはずですが、これはくだけた感じ、また黒人英語っぽさを出そうと敢えてdoを使っているようです。

「Open up your heart, let's come together, Use a little love. And we will make it work out better. 心を開いて一緒に歩んでいこう。小さな愛さえあれば私たちはうまくやっていけるだろう」の歌詞が心に響きます。
 この曲はビートルズ解散直後にリリースされましたが、「心を開いてちょっとした愛があればまた一緒に演奏ができる」と言っているようにも思います。
「Peace, remember peace is how we make it,  平和…それは私たち次第だ」は、当時のベトナム戦争のことも想起しました。「Here within your reach If you're big enough to take it.  それは手の届くところにある。大きな気持ちを持ってさえすれば手に入る」は、今のウクライナでの戦争の早期終結を願う気持ちと合致するように思います。

「小さな愛さえあれば私たちはうまくやっていけるだろう」の歌詞からは先主日の福音の聖句を思い浮かべました。それはマタイによる福音書10章 42節の「よく言っておく。私の弟子だということで、この小さな者の一人に、冷たい水を一杯でも飲ませてくれる人は、必ずその報いを受ける。」です。この聖句は、直接的には宣教に派遣される弟子たちに向けてイエス様が語られたみ言葉ですが、小さくされた人々に小さな愛の行動を行う人を神は必ず顧みてくださることを示しておられます。

 リンゴ・スター「明日への願い(It Don't Come Easy)からこのようなことを思い巡らしました。