マッテアとマルコの家

勤務している前橋聖マッテア教会や新町聖マルコ教会の情報及び主日の説教原稿並びにキリスト教信仰や文化等について記します。

『ロバータ・フラック「やさしく歌って」に思う』

 アメリカのジャズ・ソウル・R&B・ゴスペルのシンガー、ロバータ・フラックがこの2月24日に88歳で逝去しました。2022年に「ALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹患して引退した」との報道はありましたが、こんなに早く召されるとは思っていませんでした。
 私は高校生の頃に、ロバータ・フラックの最初のLPレコード「ファースト・テイク」を購入し愛聴しました。その後、「やさしく歌って」が彼女の最大のヒットシングルとなりました。私のシングルレコード(EP盤)には「ⓟ1973.3」とありますから、おそらく大学1年の頃に購入したと思います。

 

 ロバータ・フラック「やさしく歌って(Killing Me Softly with His Song)」の和訳付きライブは以下のURLで聞く(見る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=77QP4fHnS5c

「やさしく歌って(Killing Me Softly with His Song)」は、ノーマン・ギンベル作詞、チャールズ・フォックス作曲によるもので、オリジナルはロリ・リーバーマンの歌唱によるものでした。1972年8月にリリースされたリーバーマンのオリジナルはヒットしませんでした。しかし、飛行機の機内BGMとして採用されていたこの曲を、ロバータ・フラックが偶然聴いて気に入って歌い、彼女のバージョンが大ヒットとなったのでした。
 作詞をしたノーマン・ギンベルの作品で私が取り上げたことのある曲は「I Will Follow Him」です。この曲はペギー・マーチでまずヒットし、映画「天使のラブソング」で一部歌詞を変え、またヒットしました。後者では「Him」を「主(神)を」と解釈し、新たな光を与えました。だとすれば、この「Killing Me Softly with His Song」の「His」を「主(神)の」ととらえてもいいのではないかと考えました。その観点で和訳してみました。以下の通りです。

"killing me softly with his song"

Strumming my pain with his fingers. singing my life with his words.
Killing me softly with his song. Killing me softly with his song.
Telling my whole life with his words. Killing me softly, with his song.
ギターを弾く主の指が私の傷ついた心をかき鳴らす
主の歌で私を死なせて 優しく 
私の人生を歌って そして静かに死なせて

.I heard he sang the good song. I heard he had a style.
And so I came to see him, and listen for a while.
And there he was a young boy a stranger to my eyes.
彼はいい歌を歌うという評判を聞いた 自分のスタイルを持っていると
だから彼に会うため 何度も足をはこんだ
するとそこには若き青年がいた 私の見知らぬ青年が

(CHORUS)
I felt all flushed with fever embarrassed by the crowd.
I felt he found my letters and read each one out loud.
I prayed that he would finish but he just kept right on.
私は全身が熱くなるのを感じた 人ごみの中にいるのが恥ずかしかったほど
まるで彼が私の手紙を見つけて そして大声で読み上げているようだった
私は "やめて" と祈った けれで彼はそのまま歌い続けた

He sang as if knew me in all my dark despair.
And then he looked right through me as if I wasn't there.
And he just kept on singing sining clear and strong
彼はあたかも知っていたかのように歌った 私の暗い絶望のすべてを
その後すぐ、彼は私をかすめ まるで私がそこに居ないかのように 
そのまま歌い続けた はっきりと力強く
 
「Killing me softly with his song(主の歌で私を死なせて 優しく)」のフレーズは、私にはシメオンの賛歌の「主よ、今こそ、あなたは、お言葉どおり、この僕を安らかに去らせてくださいます。(ルカによる福音書2:29)」を彷彿とさせます。そして、私を優しく死なせることができるのは、「この目であなたの救いを見たから」(ルカ2:30)なのです。つまり、主イエス・キリストに出会うことで安らかな(優しい)死を迎えることができる、そのことをこの曲「やさしく歌って」は教えているように思うのです。この曲が大ヒットした要因には、この曲の歌詞が持つこのような意味合いがあったのではないかと私は考えます。

 ロバータ・フラック「やさしく歌って(Killing Me Softly with His Song)」からこのようなことを思い巡らしました。