『聖フランシスコの精神に思う』
先主日、説教で聖堂内の磔刑像を示し、イエス様が謙遜な姿で仕える者の在り方を示されたことに言及しました。また、その前週の主日では、「行って持っている物を売り払い、貧しい人々に与えなさい。」という御言葉を文字通り実行した人として聖フランシスコを挙げました。清貧と奉仕に生きた聖人であり、第二のキリストとも言われます。今回はその聖フランシスコについて思い巡らしたいと思います。
聖フランシスコを描いた映画では、先々主日取り上げた「剣と十字架」よりも「ブラザー・サン、シスター・ムーン」のほうがよく知られていると思います。今回この映画を久しぶりに、このDVDで見ました。

『ブラザー・サン シスター・ムーン』(英語:Brother Sun Sister Moon, 伊語:Fratello sole, sorella luna)は、1972年公開のイタリア・英国の合作映画で、監督は「ロミオとジュリエット」で有名なフランコ・ゼフィレッリ。
予告編を以下のアドレスで見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=tnf-y9V8XXA
このようなあらすじでした。
『イタリアのアシジの裕福な商人の家に生まれたフランチェスコ(フランス人の意味のイタリア語、母がフランス人だったことから)は18歳のとき、アシジとペルージアの間に戦争が起こり、戦場に赴いた。凄惨な戦いに敗れ、熱病に冒されて帰ってくると、何週間も生死の間をさまよった。ある朝、窓辺の小鳥の声に眼を覚ました。無心に手を差し伸べながら近づき、屋根の上に出た彼は、小鳥の後について手を羽ばたかせ、まるで大空へ飛びたつかのようだった。彼は自然の中で生き物の素晴らしさを悟った。次第に彼の眼は自分の周りの人間を見つめ出した。働く者、老いた者、病いに苦しむ者……教会の中には富める人々が、外には貧しいながら懸命に祈る人々がいた。あまりにも大きなへだたり、神はこれを許すのだろうか? 彼は「NO!」と叫ばずにはいられなかった。家に帰ったフランチェスコは、店にある高価な布を窓から投げだした。激怒した父親は彼をひきずり、領事の裁きを乞うたが何にもならず、フランチェスコは着ている服を脱ぎ、両親に返した。「もうあなたの息子ではない。人間に大切なのは富ではなく心です。これからはキリストのように乞食になります」。裸になり城門を出た彼は、太陽に向って両腕を広げながら野に向った。
雪が降り、真っ白におおわれた野に一人、フランチェスコはサン・ダミアーノ教会建設を目指していた。十字軍の英雄として帰ってきた友人のベルナルドは、その姿に強く打たれ、彼に協力を申し出た。また昔の親友たちも次々と加わっていった。髪を切った幼なじみのクレアも参加し、貧しいが素朴な人々が集まるようになった。だが、司教の陰謀によってサン・ダミアーノ教会は焼かれ、仲間の一人が殺されるに及んで、フランチェスコは自ら問うのだった。私のしたことが間違いだったのか? 彼は仲間たちとローマ教皇に請願に行くことにした。やっとのことで教皇に謁見が許され、キリスト教の腐敗を説いた。教皇はいたく心を動かされ、彼に膝まづいた。その後、フランチェスコは故郷に帰った。鳥が歌い、小川が囁いていた。彼は兄弟なる太陽や姉妹なる月のように安らかで、鳥や動物のように幸せだった。』
この映画は、全編美しい映像で、伝道のための映画というよりも宗教的素材を借りた青春映画だと思います。英国の歌手ドノヴァンが主題歌と挿入曲を書き下ろし、歌っています。青春のほろ苦さも感じる胸キュン映画でした。
聖フランシスコは、小鳥にも説教したといわれるほど動物や生きとし生きる者を愛しました。有名な「聖フランシスコの平和の祈り」は彼の作ではないようですが、『ブラザー・サン シスター・ムーン』の由来となった「太陽の賛歌」は彼の真作であるとされています。このような賛美の歌です。
「太陽の賛歌」
『いと高い、全能の、善い主よ、賛美と栄光と誉れと、すべての祝福はあなたのものです。
いと高いお方よ、このすべては、あなただけのものです。だれも、あなたの御名を呼ぶにふさわしくありません。
私の主よ、あなたは称えられますように すべての、あなたの造られたものと共に 太陽は昼であり、あなたは太陽で私たちを照らされます。
太陽は美しく、偉大な光彩を放って輝き、いと高いお方よ、あなたの似姿を宿しています。
私の主よ、あなたは称えられますように 姉妹である月と星のために あなたは、月と星を 天に明るく、貴く、美しく創られました。
私の主よ、あなたは称えられますように 兄弟である風のために。また、空気と雲と晴天とあらゆる天候のために あなたは、これらによって、御自分の造られたものを扶け養われます。
私の主よ、あなたは称えられますように 姉妹である水のために 水は、有益で謙遜、貴く、純潔です。
私の主よ、あなたは称えられますように 兄弟である火のために。あなたは、火で 夜を照らされます。
火は美しく、快活で、たくましく、力があります。
私の主よ、あなたは称えられますように 私たちの姉妹である母なる大地のために。 大地は、私たちを養い、治め、さまざまの実と色とりどりの草花を生み出します。
私の主よ、あなたは称えられますように あなたへの愛のゆえに赦し 病いと苦難を堪え忍ぶ人々のために。
平和な心で堪え忍ぶ人々は、幸いです。その人たちは、いと高いお方よ、あなたから栄冠を受けるからです。
私の主よ、あなたは称えられますように 私たちの姉妹である
肉体の死のために。 生きている者はだれも、死から逃れることができません。
大罪のうちに死ぬ者は、不幸です。あなたの、いと聖なる御旨のうちにいる人々は、幸いです。
第二の死が、その人々をそこなうことは、ないからです。
私の主をほめ、称えなさい。主に感謝し、深くへりくだって、主に仕えなさい。』
太陽や月を兄弟姉妹とする聖フランシスコは、神が創ったすべての被造物を自分の兄弟姉妹として、賛美したのでした。
聖フランシスコはシエナの聖カタリナと並ぶイタリアの守護聖人で、動物や鳥、動物園の守護聖人でもあります。そのことで、思い浮かぶことがあります。
先日、ある信徒のペットのインコのキーちゃんが亡くなり、教会敷地内のペットを葬る場所に葬られ、依頼があり、後日その場所で「インコキーちゃん逝去の祈り」を捧げました。聖句はヨブ記12:7-10としました。
『しかし、獣に尋ねてみよ。それはあなたに教えるだろう。空の鳥もあなたに告げるだろう。
あるいは、地に語りかけよ。それはあなたに教えるだろう。海の魚もあなたに語るだろう。
これらすべてを主の手が造られたのだと知らない者があろうか。
すべての生き物の命 すべての肉なる者の息は御手の内にある。』
人間だけでなく、動物を含むすべての生き物は主の御手の内にあるのであります。それを気づかせてくれた聖フランシスコに感謝します。聖フランシスコはエコロジストや平和の守護聖人でもあります。太陽や月はじめ、生きとし生ける者すべてを神の被造物として自分の兄弟姉妹とした聖フランシスコの精神に倣いたいと思います。